さつきの偏り語り

とある書店員の好きな本を適当に呟くブログです。

ねこまた。

こんにちは、さつきです。

昨日は用事があり、更新できませんでした。

くっ。なんか悔しい。

 

いやでも、毎日一冊ずつ、紹介していけたらな、と思っているので、のんびりマイペースに頑張りたいと思います。

 

偏り語るぐらい、語るの好きなもので(笑)

 

 

さて。本日ご紹介するのはこちら。

 

ねこまた。 1/琥狗ハヤテ【3000円以上送料無料】

 

「ねこまた。」

漫画/琥狗ハヤテ

 

パッと見、表紙どうっすか?(笑)

なにやら江戸時代っぽい背景に、江戸時代の人っぽい人が真ん中にいて、少々難しい顔をして鎮座してます。

 

でもね。

 

その周りを見てください。なんか知らんが、可愛い「ねこまた」たちがいっぱいいやしませんかっ!!💓

 

いやもうね。本当に、めっっっっちゃくちゃ可愛いのよ、この「ねこまた」たちがっ!

 

私はこちらのコミック、友人から一度全巻お借りしたわけなんですが。

で、一読しまして。

 

即、全巻購入しました

 

(漫画全巻ドットコム)

 

物語は、表紙のまんま。江戸時代です。

コミックの表紙を飾るのは主人公、「ささめの親分」こと仁兵衛

京の都で岡っ引きとして生計を立てております。

 

でも、それだけじゃあ暮らせないので、内職というか、こっちが本職か? 

「つまみ細工」(今もありますね)を作って小売業者に売り、生計を立ててます。

なんでも、とても人気らしいですよ、仁兵衛が作ったつまみ細工は(笑)

 

「ささめ」というのは、なんせ独り言が多いということ。

今日も今日とて、どこか他所を向いて、ブツブツブツブツ。

 

仁兵衛の手下である弥七は、いつも誰に話してるのか気になるし、自分かと思って返事したら「お前ちゃうわ」と叱られたりするし。返事しなかったら「なんで返事せぇへんのや」と言われたり。

これだけだととんでもない上司ですよね(笑)

でも、もう七年も一緒にやってるらしいので、気が合うのでしょう。

 

 

また、仁兵衛の上司のようなものである同心・寺島も、仁兵衛と一緒に盗人などを追いかけてみれば、ドコ情報かわからん情報で、仁兵衛が見事に盗人の隠れ場所を見つけたりと。

 

とにかく、不思議で不思議な仁兵衛なのです。

 

実は。

仁兵衛には「黒ねこまた」が取り憑いてます。

うん、この文字しか思い浮かばない(笑)

 

この「黒ねこまた」に仁兵衛が話しかけたり、情報をもらったりしているわけです。

 

しかーし。

「ねこまた」は言葉を発せません。触れられません。仁兵衛以外の人には、見ることすらできません。

 

頭には猫耳のほっかむり(物語の途中で、実は『脱げる』ことが判明したけれど、中身は永遠の謎)、「ねこまた」ってぐらいなもので、尻尾は二つに裂けてます。

 

ただ、顔がとにかくかわいい💓 

仁兵衛のうちにいる「ねこまた」たちは、表情が活き活きしていて、本当にかわいい✨

 

 

あ、そもそも、「ねこまた」とはなんぞや、という話ですが。

 

「ねこまた」は、「屋根」のある建物に必ず一匹いるという「あやかし」です。

 

その「屋根」を守っている……すなわち、そこに住んでいる者たちを見守っている妖精のようなもの、といえばわかりやすいかな。

 

「ねこまた」がいるから幸せになったり不幸になったりするのではなく、本当にただたんに、「屋根」があればもれなくそこに住み着く、もしくは生まれるのです。

 

例えば、街道のお地蔵さん。屋根付きの祠にいるのなら、そこにもずっと「ねこまた」がいます。

江戸時代は井戸水を利用していましたね。

その井戸に屋根がついていたら、そこにも「ねこまた」がいるのです。

 

ちなみに、仁兵衛の家には大勢の「ねこまた」がいます。

1つの屋根に一匹なのに? な感じなのですが、これも仁兵衛の不思議。

 

屋根を失った生まれたての「ねこまた」や、「ねこまた」は袈裟なんかにもいたりするので、捨てられた「袈裟」についていた「ねこまた」なんかを、仁兵衛が引き取ってくるわけですわ。

 

人徳なの?(笑)

 

それもあるのでしょうが、「ねこまた」たちは普段、人間に見てもらうことができません。だけど、仁兵衛は見てくれて、存在を認めてくれています

だからこそ、集まってくるのでしょう。

 

さて「ねこまた」の模様や色は様々。

生まれたばかりの「ねこまた」は小さいですし、「生き物」のようです。

 

その中でも、仁兵衛に直接とり憑いてる「黒ねこまた」は特別で、「屋根」ではなく「仁兵衛」に憑いているわけです。

 

これは「ねこまた」界ではかなり珍しいらしく、「黒ねこまた」は他の「ねこまた」たちの憧れの存在でもあるようです(笑)

 

 

じゃあ、なぜ「黒ねこまた」は仁兵衛にとり憑いたのか。

 

それは、仁兵衛が幼い頃、高熱で死にかけていた時のこと。

熱に浮かされた仁兵衛が、初めて「黒ねこまた」と出会います。

必死に自分の心配をしてくれている「黒ねこまた」に礼を言う子ども仁兵衛。

この熱のせいで、「ねこまた」が見えるようになったんと違うかしら。

 

んで、「黒ねこまた」は自分が見える仁兵衛が気に入って、ずっと憑いてるんではないかと思ったり。

 

仁兵衛が子どもの頃、仁兵衛にだけ見える「黒ねこまた」に話しかけていると、友達たちが仁兵衛を変なやつと言うわけです。

まぁ、仁兵衛も年ごろでしたから、

「そんな変なもん見えてへんで」

とか言っちゃうわけです。

 

すると。

 

「黒ねこまた」はショックのあまり、消えてなくなりかけてしまうわけです。

 

実は、「ねこまた」は、家がなくなるとその家と一緒に消えてしまいます。

煙のようなものになって空に舞い上がっていくのです。

 

近場の「ねこまた」たちはそれを誇らしげに見送り、見送られた「ねこまた」もまた、誇らしげに胸を張って消えていきます。

 

そして。新しい家が建つ時。その大黒柱の根っこから、新しい「ねこまた」が産まれます。

その「ねこまた」はヨイショヨイショと懸命に大黒柱を昇り、そのてっぺんで、これからは自分がこの家を守るっ、とばかりに胸を張ります。

 

そんなサイクルがある「ねこまた」。

仁兵衛に「拒絶」されることにより、「いらない」とされてしまったわけなので、必要ない自分は消えないと、とでも思ったのかもしれません。

仁兵衛が慌てて、ごめんを連発し、二度とあんなことは言わないと誓い、今にいたります。

 

 

他にもね、「ねこまた」の秘密は全六巻の中に盛りだくさんだし、ちょっと泣けるエピソードや、胸が温かくなるようなエピソード。いろんなエピソードが盛りだくさんで、かなり癒されます。

 

そう、癒されるんです。「ねこまた」たちに!

 

物語はほとんどが四コマです。時折、普通の漫画です。

とはいえ、読みにくくなく、とても読みやすい。

 

この作家さんは、BLも描かれている人です。

なんだろう、「獣」を描かせたら、ピカイチではないかしら、と思うぐらい上手です。

だからこそ、「ねこまた」たちもめっちゃ表情豊かで、めっちゃ可愛いんじゃないかしら。

 

今回、こちらのコミックを紹介するために、ちらっと一巻だけ読み直そうと思ってたら……気づいたら全巻読み直してたわ(笑)

 

心から、なんかこう、癒されたい人は、ぜひ、一読してみてください。

そんな方々に超オススメです。

 

そして私は「ねこまた」グッズがあるなら、めっちゃオトナ買いしたいぐらい欲しい(笑)